Opus 5 は絶賛一色ではない|海外の評価と、Anthropic 自身が認める弱点【2026年7月】

Claude Code

2026年7月24日にリリースされた Claude Opus 5 は、「Fable 5 に迫る性能を半額で」という触れ込みで登場しました。当ブログでも【Opus 5 が Max の新デフォルトに】として、何が変わったのかを整理しています。

ただ、リリース直後の海外の反応を調べていくと、絶賛一色ではありませんでした。独立系のベンチマークや実際に使ったレビューでは、性能を認めたうえで「遅い」「よく喋る(冗長)」「トークンを食う」という指摘が並んでいます。

そして興味深いのが、その弱点を Anthropic 自身が認めていて、対処法まで公式ドキュメントで配っていることです。

この記事では、海外の評価を賛否の両側から整理し、公式が認めている挙動と、その対処法をまとめます。日本語ではまだあまり出ていない話なので、Opus 5 を使い始める前に知っておくと判断がしやすくなります。


先に要点:賢い。ただし「遅くて、よく喋る」

調べた結果を一言でまとめると、こうなります。

  • 知能は本物。独立系ベンチマークで191モデル中2位。ベンダー各社も自社ベンチで首位を報告している。
  • ただし 速度は遅い。同じ独立ベンチで出力速度は191モデル中120位、「著しく遅い」と評価されている。
  • そして 応答が長い(冗長)。これは複数の第三者が指摘し、Anthropic 自身も公式に認めている
  • 用途によっては トークン消費が増えるという第三者の計測もある。料金単価が据え置きでも、実際に払う量が増えれば話は変わる
  • 対処法は公式のプロンプトガイドに載っている。指示文をコピーして使える。

「性能は上がったが、そのぶん喋るし考える」——これが現時点での全体像です。


絶賛サイド:何が評価されているのか

まず良い側から。ベンダー各社が自社のベンチマーク結果を公表しています。

  • Zapier CEO(Wade Foster):自社の AutomationBench でトップに立ったと報告。「以前の Claude モデルより多くのトークンを使うことなく」、解約防止ワークフローを最初から最後まで完走させ、他モデルが通らなかったところを Opus 5 は100%達成したとしています。
  • Cognition CEO(Scott Wu):FrontierCode 1.1 において「Opus 5 は Fable 級の性能に、半分のコストで近づいている」とコメント。とくにデバッグと根本原因の分析に強いと評価しています。
  • Artificial Analysis(独立系の分析サイト):知能指数で 60点、191モデル中2位。同等クラスの平均(32点)を大きく上回っています。

知能そのものへの評価は高い、という点は押さえておいてよさそうです。


「賢い。でも苛立つ」——冗長さへの不満

一方で、実際に使ったレビューには厳しいものがあります。

Lenny’s Newsletter に掲載されたレビューは、タイトルからして率直です。

「Claude Opus 5 review: this model is brilliant (but annoying)」
(Opus 5 レビュー:このモデルは優秀だが、苛立たしい)

記事内には 「Claude Slop:冗長さの問題と、それが私の血を沸かせる理由」という見出しのセクションがあり、実装作業での具体的な不満——たとえば触ろうとしなかったマージコンフリクト——が挙げられています。モデルの性格を「神経質」と表現している箇所もあります。

ここで重要なのは、この不満が「性能が低い」という話ではないことです。賢いのは認めたうえで、付き合いづらさを指摘している——この構図が、Opus 5 のレビュー全体に共通しています。


独立ベンチマークの数字

速度と冗長さ:Artificial Analysis

独立系の Artificial Analysis が公表している数字です(xhigh 設定)。

指標 Opus 5 (xhigh) の結果
知能指数 60点/191モデル中2位
出力速度 毎秒約51トークン/191モデル中120位=「著しく遅い」と評価
最初の応答までの時間 約44秒(同価格帯の推論モデルの中では遅い側)
冗長さ 評価全体で7600万トークンを出力(平均は6300万)=「やや冗長」
価格 入力5ドル・出力25ドル(100万トークンあたり)=平均より高い

とくに目を引くのが max effort の冗長さで、こちらは1億トークンを出力し「非常に冗長」と評価されています。深く考えさせるほど、大量に喋るわけです。

価格が「高い」と評価されている点は、割り引いて読む必要があります。この比較の平均には安価な小型モデルも含まれるので、最上位クラスが平均より高いのは当然です。とはいえ速度の遅さは同価格帯との比較でも指摘されているので、こちらは実感として出やすいところだと思います。

コードレビュー用途:CodeRabbit

コードレビューに特化した第三者ベンチマークの結果は、さらに考えさせられます。比較の基準(ベースライン)は Opus 4.8 です。

指標 Opus 5 (x-high) ベースライン(Opus 4.8)
既知バグの検出率 55.2% 61.1%(Opus 5 は下がった)
全体の精度 28.6% 32.8%(Opus 5 は下がった)
実行可能な指摘の精度 39.3% 35.2%(Opus 5 が上回った)
重箱の隅の指摘(nitpick) 92件 23件(約4倍
トークン消費 入力+50% / 出力+65%

評価としては、Opus 5 は 「精度重視のスペシャリスト」で、設定ミスやコード品質の指摘には強い一方、ロジックの誤り・競合状態・API の誤用の検出は弱いとされています。「Fable 5 の対抗馬ではない」とも書かれています。

⚠️ ただしこの結果はコードレビューという特定用途のものなので、そのまま一般化はできません。「どのベンチで測るかで評価が変わる」という当たり前の事実として受け止めるのが妥当です。

食い違いをどう読むか

ここで気づくのが、Zapier の「余分なトークンを使わなかった」という報告と、CodeRabbit の「入力50%増・出力65%増」という計測が食い違っていることです。

私の見立てです(※どちらかが誤りだと言いたいわけではありません)。作業の種類によって結果が違うのだと思います。Opus 5 は自分で検証し、必要なら深掘りする性質があるので、やることが明確なワークフローでは無駄なく走り、判断の余地が大きい作業では考え込んで膨らむ——そう考えると両方の報告が両立します。裏を返せば、自分の使い方で測らないと分からないということでもあります。


Anthropic 自身が「応答が長い」と認めている

ここが今回いちばん重要な発見です。

Anthropic は 「Prompting Claude Opus 5」という Opus 5 専用のプロンプトガイドを公開していて、そこに 「Response length and verbosity(応答の長さと冗長さ)」という節があります。公式の記述はこうです。

Claude Opus 5 の既定のユーザー向け応答は、以前の Opus モデルより長くなる。

つまり冗長さは不具合ではなく、公式に認識されている挙動です。さらに公式は、調整が必要になりやすい挙動として次を挙げています。

挙動 公式の説明
応答が長い 以前の Opus より長く喋る。effort を下げても応答は確実には短くならない
実況が多い 作業中に「これから何をするか」を進んで説明する。1メッセージあたりの出力も長め
書き出すファイルも長い レポートや Markdown 文書が以前より長くなりがち
過剰検証 言われなくても自分の作業を検証する。「検証しろ」という指示が残っていると過剰になり、トークンを無駄にする
作業範囲の拡大 頼まれていない手順を足したり、タスクの解釈を自分で広げたりすることがある
サブエージェントの乱発 以前より積極的に委譲する。小さな作業に使うとコストと時間が膨らむ
自己修正の実況 自分の発言の訂正を、以前のモデルより多く口に出す

「賢くなった結果、丁寧にやりすぎる」という方向の癖だと読めます。冗長さへの海外の不満は、この挙動を指していたわけです。


対処法:公式が配っている指示文を使う

ありがたいことに、公式ガイドには対処用の指示文がそのまま載っています。要点を訳して整理します。

応答を短くしたい

effort を下げても応答は短くなりません。長さはプロンプトで直接指示します。公式が挙げている例は、こういう趣旨の指示です。

回答は要点を絞って簡潔に。前置きや注意書きは短くし、
本題に文量を使うこと。説明を求められたら、
詳しい解説を明示的に求められない限り、要約で答える。

実況を減らしたい

最初のツール実行の前に、これから何をするかを一文で述べる。
作業中は、重要な発見があったときや方針を変えるときだけ短く報告する。
終わったら結果から述べる。最初の一文で「何が起きたか」に答え、
詳細はその後に置く。

過剰検証をやめさせたい

これは指示を足すのではなく、消すのがポイントです。公式は明確に、「最終確認のステップを入れよ」「サブエージェントで検証せよ」といった検証指示が残っているなら削除せよ、削除すれば品質を落とさずに無駄なトークンが減るとしています。「ダブルチェックしろ」の類も同様です。

以前のモデル向けに書いた CLAUDE.md をそのまま使い回している人は、ここが盲点になります。 CLAUDE.md の書き方そのものは【CLAUDE.mdの書き方・実例テンプレート】にまとめました。

作業範囲を広げさせたくない

頼まれたことを、頼まれた範囲で行うこと。
routine な判断は自分で行い、解釈によって成果物が大きく変わる場合だけ確認する。
依頼が的外れに見えたり、より良い方法があるなら一言述べたうえで、
依頼どおりに進める。勝手に狭めたり広げたりしないこと。

サブエージェントを乱発させたくない

サブエージェントへの委譲は、本当に独立していて分量のある作業だけにすること。
数回のツール実行で自分が終わらせられる作業は委譲しない。
自分の作業の検証・ダブルチェックのためにサブエージェントを使わない。
1つで足りるなら1つにし、起動数は少なく保つこと。

サブエージェントの基本は【Claude Codeのサブエージェント実践】に書いています。


サブスクで使う人にとって、これは何を意味するか

ここからは私の見立てです(公式が言っていることではありません)。

Opus 5 のトークン単価は Opus 4.8 と同じです。しかし冗長さで実際の消費トークンが増えるなら、支払う総額は増えます。API 従量課金の人にとっては、そのまま請求額の話です。

そして Max などのサブスクで使う場合はもっと直接的で、消費が増えれば週次上限が速く減ります。「料金据え置き」は単価の話であって、使用量の話ではない——ここは分けて考える必要があります。

そう考えると、公式の対処プロンプトを CLAUDE.md に入れておく価値は、サブスク利用者ほど大きいと思います。冗長さを抑えることが、そのまま上限に余裕を作ることになるからです。

とはいえ、これは実測しないと本当のところは分かりません。Max 5x での1ヶ月のトークン消費は【Claude Code 1ヶ月のトークンコストを実測|Max 5xは元が取れるのか?】で測っているので、同じ物差しで Opus 5 に切り替えた後の消費を測り、この記事に追記する予定です。計測には ccusage を使います(【ccusageでClaude Codeのコストを可視化する方法】)。

このセクションは実測後に書き直します。


まとめ

  • Opus 5 の知能への評価は高い。独立系ベンチで191モデル中2位、ベンダー各社も自社ベンチで首位を報告。
  • 一方で「遅い」「よく喋る」という指摘が複数ある。出力速度は191モデル中120位、冗長さも平均超え。max effort では「非常に冗長」
  • コードレビュー用途の第三者ベンチでは、重箱の隅の指摘が約4倍、トークン消費が入力50%増・出力65%増という結果も。ただし特定用途の結果である点は注意。
  • Anthropic 自身が「応答が以前より長い」と公式に認め、過剰検証・サブエージェント乱発・作業範囲の拡大なども挙げたうえで、対処用の指示文を公開している
  • effort を下げても応答は短くならない。長さはプロンプトで指示する。
  • サブスク利用者にとっては、冗長さ=週次上限の消費。対処プロンプトを CLAUDE.md に入れておく意味は大きい。

新しいモデルが出たとき、ベンチマークの順位だけ見ると「上がった/下がった」で終わってしまいます。実際に使うときに差が出るのは、こういう癖の部分です。公式が対処法まで出してくれているのは、むしろ扱いやすい部類だと思います。

Opus 5 で何が変わったのかの全体像は【Opus 5 が Max の新デフォルトに|料金据え置きで性能2倍・effortで賢さとコストを調整】にまとめてあります。あわせてどうぞ。


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